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心的外傷(トラウマ)と心的外傷後遺障害(PTSD)について 第1章:心的外傷(トラウマ)と心的外傷後遺障害(PTSD)について考える

心的外傷、トラウマの問題という言葉は日常的に使われる言葉になっています。
多くの方が言葉のイメージやだいたいの定義は理解されていると思います。
また、精神科の外来などでも、受診頻度が多く、時に一番難しい、時間を要する患者さんは心的外傷の患者さんともいえます。

このように、重要な病気、概念でありながら、外来でうつ病やパニック障害や不安性障害と比べても、診断などの医学的認知度が極めて低いという現実があります。
これはなぜでしょうか。

そうした疑問を踏まえつつ、少し踏み込んで心的外傷(トラウマ)の問題を考えていきたいと思います。

心的外傷の診断は、診断学上、現在の症状の確認が中心ですので比較的容易です。診断学の本であるICD-10を参考にします。
使われている言葉は難しいかもしれませんが、内容は平易です。
①無感覚と情動麻痺。他社からの孤立(直面すると動けなくなること)。
②周囲への鈍感、トラウマを想起させる活動や状況の回避(対象から逃げることです)。
③フラッシュバックなどの侵入的回想、悪夢(いやな場面を想起します)。
④原因として自然災害、激しい事故、変死、拷問、テロリズム、死の恐怖、犯罪の犠牲などの過酷な体験(原因の重度さです)。
⑤過敏性などの素因は診断に影響を与えないと考えます。
⑥元の原因を想起、思い起こされる体験をすると、恐怖やパニック、自律神経症状、驚愕、不眠、不安、抑うつの症状が発生する(合併する症状です)。

注目はこの④にあります。④の原因の項目の適応を除くと、上記の患者さんは外来でよく頻回にみられます。

心的外傷をめぐる混乱は昔からありました。つまり心的外傷後遺障害は、被害者が多くいて、しかも診断は容易であるのに、歴史的には混乱し続けてきた概念といえます。理由の一つは、精神医学の二大潮流である精神分析学において、フロイトがヒステリーとの鑑別上、心的外傷に否定的であったこと、また心的外傷という概念そのものがもう一方の潮流である精神病理学(統合失調症中心です)において全く研究対象ではなかったことが大きな原因です。

多くはヒステリーと診断され、心的外傷の概念は否定されてきたといえます。この壁を乗り越えるために多くの研究者は戦争などの極限の状態での病状の調査を行い、何とか近年認知されてきたというべきです。こうした歴史的重要な問題点はあとで述べます。

また別の問題があります。心的外傷の症状は自分の主観的体験が基準ですので、客観性に乏しい部分があり、時には心的外傷の範囲が拡大しやすい傾向があります。特に研究が、極限の精神状況を対象に進んできたことや、また、訴訟社会のアメリカでは精神障害としての心的外傷の範囲の拡大を防ぐことも大事で、新しい診断学のDSM-5などでも④の項目を強調してなるべく心的外傷の範囲を制限しようとしています。範囲を狭めようとするのは、誤診の減少という名目のためよりは、医療費、帰還兵の被害、訴訟対策などのいろいろな補償的、経済的出費を防ぐ理由があると考えてもいいと思われます。

こうしたことが、積極的に心的外傷の診断を行う精神的な壁になってきたといえるでしょう。

では、日本において心的外傷の現実はどうでしょうか。

実際に外来で多くの患者さんを診ていると、重症の方は当然として、軽症も含めて上記の心的外傷の症状で苦しんでいる多くの患者さんがいます。多くは④の解釈を除けば、他に項目に当てはまります。④を除けば、診断基準通りに心的外傷後遺症ととらえられ、しかもそうした判断、理解のもとで治療のできる多くの患者さんがいることに気づかされます。

ただ、症状が軽症の場合も多く、彼らは周辺群と呼ぶべきかもしれません。

時に心的外傷のトラウマから二次的に⑥のように不安発作などの症状へ広がる場合も多くみられます。一見、診断的に、不安障害やうつ状態、適応障害に分類される症状の人でもその病理の裏側に心的外傷体験の蓄積の多い方がたくさんいます。

これは問題となる④の症状の判断は何が大事でしょうか。恐怖や恥、傷つきには文化の差異はあると思います。特に日本社会のように、資質としてHSP的過敏性の高さが原因のトラウマや、仲間はずれなどでの、集団主義社会での傷つきの体験は、外見的には軽度に見えるけれども本人には予想より強い死や恐怖の体験となり、心的外傷の発生リスクを高めているといえます。死に近い体験や恐怖など④の現実的解釈には日本流の幅が必要といえるのです。④をどう理解するかが大きなカギであることをご理解ください。

 

 

 

 

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HSPについて 第5章:産後うつ、HSP、育児ノイローゼの違いについて

産後うつの問題は、いわゆる内因性と呼ばれる「うつ病」の一つです。
急激なホルモンの変化で神経の調整のバランスが失われた状態です。治療を必要とします。
「なんとなくやる気が出ない」「疲れやすい。エネルギーがない」「うれしくない」などが目安です。薬での治療が大事です。

HSPは上に述べたように、幼児期学童期、社会人でも続く「過敏性」「自己不全感」が基本です。すぐには変われませんが。「こだわり」を疑いとそれと距離を置くことです。幼児期からの自分の環境から解放される、自己理解が必要です。
自分は、母親であるという意識が自分を変える原動力だと思って下さい。

育児ノイローゼは、言葉通りの疲れから来る神経の過敏症です。
一人で、育児の責任を負い、不眠の疲れなどからイライラ感。ストレスの高い状態です。
むしろ、全員がノイローゼになりやすいといえます。目標を下げてください。
完全な育児は疲れます。孤独も問題です。何か気晴らし、支えが必要です。
アプリで「見てね」がありますが。自分だけでなく、夫、両親、兄弟、友人で見てもらって、ともに支えあう環境づくりなども大事かと思います。
この時代ですからアプリやメールをうまく活用してください。
孤独が最大の問題ですから。
以上。

皆様の参考になれば幸いです。

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HSPについて 第4章:HSPと子育て

ある雑誌での記事にするために追加した項目です。
参考になればと思います。

まず、HSPの特徴がある場合自分の特徴を知ることです。

・完全を目指さず、「いい加減」であることーそれが実はいいことであるという理解
・周囲でプレッシャーを与えないこと
・夫の理解、サポート
などです。

完全を目指すのではなく、子供が泣くときなぜ泣いているのか、泣き声からミルクが欲しいのか便がしたいのか、甘えたいのかのなどの真の他者理解に気を向けることです。
確かに原因は何かわかるまで時間はかかりますが。そうした視点常に気持ちを持っていってください。
これは、感情、トラウマよりも前頭葉の理性を使う準備と思ってください。

次にはスキンシップです。いろいろ話しかけたりするよりも。短時間でもしっかり抱きしめてあげるほうが子供は安心します。ごろごろしながら、目を配りじゃれつく子供の相手をしているライオンのお母さんをイメージして下さい。

また、自分の中での「思い込み」に気づいてください。「自責感」や「もっとしっかり」という自己の内部の声(超自我の声)」が頭の中にあるはずです。その声にあまり引きずられないことです。親が子供を思うのは自然です。ただHSPのあなたは10割以上に頑張るから力を抜く必要があるのです。

家族との関係ではなるべく自分の意見を押し通して下さい。気を使わないことです。
あなたは母親となりました。誰の気も使う必要はないのです。
なぜなら、母親は子供にとって、家族の中で一番強い、えらい存在だからです。これは動物全体の本能です。そこを理解してください。
ただ対立の構造は避ける必要があります。これは夫の出番です。
夫、父親の庇護、理解が対立のないことでHSP的子供を避ける最大の子育てになります。
夫のこうした理解のためには。時間をかけてください。夫の理解には時間がかかります。
例えば、要点はこのチラシを見てもらうのも方法かもしれません。
いろいろ利用してみてください。
母親は自然になれるのですが、父親になるためには自我の発達の理解、教育も必要だからです。
祖父母は、母親を助けること、それが最善です。自分の経験で孫を囲い込まないよう注意して下さい。

続きは5章に移ります。

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HSPについて 第3章:治療の考え方、その他、重症化としてのトラウマ

症状のレベルで軽いものから重度まで大きな幅があり、対応にも開きがあります。
ただ、基本的にはHSPとしてのそうした自分の生きにくさの真の原因を知ること、自己理解が第一です。家族の中で気を使いすぎてきたこと、その行動様式や価値観をその後学校や社会で繰り返してしまっていることへの自己理解が必要です。

なぜ同じ対応繰り返し続けるのでしょうか。
この時、自分を支配する自分、成育環境のなかで作られた自分、いわゆる超自我の存在に気づくことです。

その問題を考える前に話がずれますがここで先に一度薬の役割を述べておきます。

治療で薬を使うのは、症状を和らげて、脳の過剰な負担を軽減するためです。HSPの人は不安、不眠、意欲の低下、抑うつ気分、イライラなどの症状が生じやすいのです。
症状とは感情や気分が不安定になっていることだと理解してください。薬が感情をコントロールします。
症状があると感情的になり脳の働きが悪く、ネガティブな判断をします。、どう考えても悪い結論になりがちです。薬で症状を和らげると、脳の働きがよくなり前向きの結論、思考がポジティブになります。判断や思考をするための準備のためと思ってください。

HSPの基本にある超自我の問題に戻ります。
私たちは通常、自分の自然な考え方が過剰に抑圧され、当たり前のごとく「気を使わねばならぬ」「こうしなければならない」という強い固定観念に支配されています。これは本当の自分ではなく、作られた別な自分、フロイトのいういわゆる超自我の強い支配が働いているからです。自我は「本当の自己」と環境でつくられた「超自我」の二つで自我で構成されています。
HSPの人は固定観念、超自我に強く支配され、常に超自我は自責や反省の念を強いてきます。
治療の基本はこの超自我からの脱出が大事なテーマとなります。
その一番基本的な方法は、まず自分の考え方に疑問、疑いを持つこと、これまで当たり前だと思っていることを疑うことにあります。超自我を抑え込もうと自分と戦ってはいけません。疲弊してしまうだけです。
「なぜそう考えるのか」とか疑問を持ち、固定観念の根拠を疑うことです。次に「本当にひつようなのか」「考えなくていいのでは」など自分との対話の中で少しずつ超自我に距離を置いていくことが必要になります。共存しながら距離を置くことで超自我から少しでも解放されると過剰な抑圧的考え方が減り、楽になっていくとおもってください。
超自我のコントロールは通常自分の生きる当然の原則や義務として頭の中に存在しています。ですから、超自我を否定することは自分を見失うように思われますが、抜け出すと自由な自分を見つけ出すので安定してきます。
超自我は頭の中にいるイメージです。頭の中が締め付けられるように支配されています。一方自分の自然な自我、(心とよんでもいいと思います)は胸に投影されているように感じられます。胸を意識してください。

HSPによる症状の重症化の場合を考えてみます。

HSPによる過敏性によるいろいろな体験が社会で拡張して人間関係の傷つきやすさから重症化するとトラウマや心的外傷に発展している場合があります。
トラウマそのものは人間の再度の危険を避けるための記憶装置であり、フラッシュバックなどの意志で超えられないおおきな後遺症状がみられます。

トラウマと直接戦うことは困難です。
その理由を脳の働きから考えてみましょう。
基本的な思考や理性の活動の部位は前頭葉で、ある程度自分の意志でコントロールできます。
しかしコントロールできない部分があります。側頭葉の活動です。
いやな記憶の再現やフラッシュバックなどの症状は両側頭(偏桃体の部位)から出ます。
前頭葉などの人間の意志のコントロール外の活動のためにそれを理性でコントロールできず、長く苦しみます。

治療薬を使用しますが、対応が難しいのです。ただフラッシュバックには一定のピークがあるので、自覚してピークが過ぎるまでやり過ごす構えが役に立ちます。戦わないことです。うまく共存する対応が必要です。

ただ根本的にはトラウマの源から遠ざかるか避けるしか方法はありません。
対象と会わないという安全保障が必要になります。
体調の管理も大切です。脳は体の臓器の一部です。過労や不眠などで機能が悪くなります。
不眠の改善などは最も重要です体調を改善してから考えることです。
さらに。脳の固定観念、超自我の機能を使うことを避け心の機能「やりたいことはやる、やりたくないことはしない」など素直な自分の感情に耳を傾ける必要があります。「気ままに考える」でいいのです。

少しずつ自己理解できると感情や思い込みに振り回されず、理性が働き、多少ブレーキを掛けられるようになります。

まとめると過去からの自分と現在の自分を分けていく作業であり、時にトラウマ(過去が現在に侵入する)そのものの治療と似てきます。
その後、症状に合わせて、「超自我」―作られた自分からのさらなる解放が必要です。
自分の中でも少し距離を置く工夫などです。束縛から解放される必要があります。
自分の感情が解放されるためには、やらねばならない。しなければならないことにこだわるのではなく。「寝たければねる、食べたければ食べる」気ままな姿勢が必要です。
また,正の感情―楽しい。ほっとする、気持ちがいい、おいしいなどの感情をなるべく多い行動をとることです。(認知行動療法的に)体調を整えて、脳の働きをポジティブにすることも大事です。
症状によりますが、薬の使用は補助的に体調を整え、疲れたネガティブな脳の働き、理性を回復するために使います。

 

(HSPの治療について追加)

HSPの人には、時に重症の場合もう一つの共通点があります。

幼児期の素直な親への甘え、健全な依存ができなかったため、正常な人格の成長が妨げられ、成人の自分の人格の中に、幼児期の自我が共存していることです。

時に、ストレスがあると、この幼児期の「自我」が、「怒れる自我」として別人格のように顔を出し、あたかも別な人格が出現したかのように態度が豹変し、急激な怒りが出たり、強い落ち込み、自傷行為などがみられます(人格障害と同じですが程度の違いはあります)。

 

つまり、幼児期の環境で、子供として甘えたい幼児の人格が、強い抑圧で成長できず、未成熟のまま残り、大人になってからの人格に統合されないまま、一部、別な人格として本人の人格の中に共存している状態です。普段は共存して隠れているのですが、刺激に対して、スイッチで切り替わるごとく前面に出現します。これが外的にはあたかも二重人格のごとくに見えます。

 

この抑圧された子供の自我を成長させることが、治療上大変重要になります。

方法は簡単でもあります。

本人の信頼できる恋人や友人に、あたかも3歳児が甘えるように喜ぶように接してもらうことです。

つまり、「膝枕してあげる」「頭をなでてあげる」「ハグしてあげる」などのスキンシップな対応です。言葉はあまりいりません。十分信頼し、甘えられて満足できる関係性が大事なのです。

そうして満足していく中で、子供の自我が「超自我」から解放され、真に成長して統合されていくのです。

調子の悪そうなときには、20代でも30代でもスキンシップを大事にしてください。

 

 

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HSPについて 第2章:HSPとは何か、HSPの理解

家庭の環境因に関して医学的には母子関係の障害であるボウルビィの「愛着障害」の概念、さらに最近では、機能不全家族などが代表として挙げられます。
しかしその場合の環境因は機能不全家庭のように強い愛着の障害、愛情の欠損を起こす離別や暴力、虐待などの過酷な家庭崩壊が基本にあるといえます。その場合解離性障害や人格障害の病名が示す如く強い症状を呈します。

そうした厳しい環境を原因とする人とは別に通常に見える家庭環境の中でHSPと自覚する人の中が外来に多くいます。
HSPを理解するにはむしろ正常に見える通常の家庭の中をさらに注意して見てみることになります。
特に臨床の現場で得られる外来の多くの患者さんの例は、家庭内での原因の問題をもっと別な視点から考えることの必要性を教えてくれます。
また、家庭環境の問題を家庭の面から考えると特に特異性はありません。
そこで、患者さんの特徴から定義を考える必要があります。

通常過敏性だけを主訴に外来受診する患者さんは少ないです。病名としてうつ状態、不安症、適応障害。慢性疲労。自律神経失調症、など多彩な症状や病名で受診する外来の多くの患者さんたちの中から過敏性の自覚。家族構成やその関係性。自己理解を確認するとHSP的過敏性の症状の自覚して訴える人が非常に多く、さらに大事な点は彼らには家庭内での過剰適応という共通点があります。
この共通点とは何でしょうか。
結論的にはHSPの最大の問題は、幼少期から続いている「通常に近い、しかし多少ひずみのあるささいな家庭環境因への本来正常な過剰「適応」が、逆に将来、過敏性という形で社会への不適応をつくるという「パラドックス」にあることが見えてきます。適応と凝縮。均一性を求める日本社会の圧力が家庭内にも無言の影響を及ぼしているともいえると思います。

そこで次に家庭内適応のテーマに関して考えてみます。育った家庭の環境の問題が基本ですが、機能不全家族などの言葉にみられる激しい家庭内の対立や暴力、依存症や育児放棄や虐待などの外からも見える家庭内のトラブルほど大きな問題はありません。日常的に問題ないと思われる通常の普通の家庭の中に潜む小さな問題が大きな意味を持つのです。
機能不全家族とは時に程度の差かもしれませんが、そこでは常に幼児期の家族内の通常にある人間関係が問題になります。共通するのは、家の中に祖母と母親の間、両親の間などに些細な対立や軽い争いがあることです。さらには少数ですが強い父親の態度や母親の強制など服従の種があることです。
家庭内で通常的にもよく見られる当たり前に近い軽いひずみや対立のある時、子供はどのように家庭に適応するのでしょうか?
その場合ほとんどすべての子供、特に女の子は、家庭。居場所を大事にしようと考えます。動物としての子供の本能に導かれるように家の中で対立を解消するために両者に気を使います。程度の差はあれ、自分のためではなく家庭の環境を良くしようと努力します。その際「手のかからないいい子」「家の中で明るい種を作るために勉強や習い事で努力する」「明るい話題」「対立するどちらにももめないように気を遣う」などの役割を演じます。結局「家庭を壊したくない、親の期待を裏切りたくない」のです。

自分のわがままや言い分は我慢し、不満や甘えは抑圧されます。自己の意見を失うのです。
こうした状況は、一見どこにでもある風景で病的な印象でないかもしれません。そうした自我の特徴を表す病名もありません。しかし、その我慢の程度が強いと成長して大人になっても学校や職場でも家庭での役割と同じく周囲に気を遣う役割を無意識に常に演じて無理をしてしまいます。「NO」といえない、生きにくいつらさがあります。結局常に人に気を遣う、緊張間の高いHSPとして行動してしまうのです。
この際同時に自我の未熟さがみられます。人格の形成の幼児期から人に気づかいしすぎることで自然な自我の成長が妨げられてしまいます。幼児性とトラブルに対しての脆弱性が見られます。強く反応してしまうのです。機能不全家族にみられる、人格障害などの重症の障害ではありませんが、軽いひずみがあります。
また、自我意識として共通に「自分はダメな人間だ」「役に立たない子供だ」と家庭内で(家庭を守る生物としての本能に導かれるように)自分を過小評価して暗い気分に襲われます。
可愛がられ、甘えたり、わがままを言ったりする成育過程から得られる自我の自然な成長や自己肯定感を妨げられます。自分の努力にもかかわらず、育った家庭内は変化しないので、自己否定の感覚が強くなるのかもしれません。この感覚はあたかも動物的な本能の強制であるかのように子供自身を強く束縛します。言葉を変えれば作られた超自我による強い支配があるとも言えます。自分らしさ、自分の居場所は失われ、人目を気にしながら生きる窮屈なつらい人生が始まります。

自己の過小評価の程度が強いと。いわゆる「リストカット」などの自分を責め傷つける自傷行為などが発生します。切ることで安心するのです。自分を追い詰めて圧迫から解放されるといえます。これはヒステリー的に人に訴えるためではありません。
逆に、「リストカット」を見たら、幼児期からの軽い不安定な家庭、(時には機能不全家族とよばれるような機能を消失した家庭)で無理を重ねて適応してきたと判断してほぼ間違いありません。

以上まとめると
HSPにはその結果二つの大きな特徴、共通点が生まれます

1,対人関係に気を遣う。相手の機嫌を損なわないように努力する
2,自己評価が低い

1の特徴が学校や職場でも続き。対人関係に気を使い、人の機嫌を損ねないようにNOと言えない自分が生じること。また怒鳴り声や対立におびえ過敏で常に周囲に気を使っています。そうした自分に疲れています。
幼児期からの自分の家庭内での適応性を同じように、学校や会社で繰り返して気を使いかえって不適応を起こしている状態にあるという理解です。
HSPの人は非常に素直な、いい人で。仕事にも努力します。しかし、結局無理を重ねて体調を悪くする人や人間関係でいじめ、過剰な気遣いや、対立に弱く、緊張感が強く疲れてしまう人などが多くみられます。

2の特徴もほぼ全員にみられます。ある意味で甘えてわがままに育てず、家族のために無理して適応して生きているので、親や他人から認められる、褒められる機会が少ないこと、また、結局自分が努力しても家族の関係が変わらないため「自分は役に立たない子供だ」「生きている資格がない」と強い自責感、うつが生まれ、時に悪化すると自傷行為(リストカット)が生じます。
こうした共通して認められる特徴の理由を考えると、「子供の本能」という理屈を超えた生物としての基本に由来しているからと考えるのが正しいと思います。

重なりますが、HSPの診断は比較的容易で
◎自覚症状として、生きにくさや疲れを感じる、対人関係に非常に気を遣う、うつになりやすい、生きる意味が分からない、苦しいほど完全壁、怒鳴り声や人の争いが怖い など
◎自分を責めやすい、常に自分が悪いと自責感にかられる
◎人に認められるために無理な行動をしやすい
などの自己分析です。
HSPのどこからが病的であるかは、本人の生きにくさと周りの気遣いの程度で決まります。
重症化してクリニックに来るときは、大まかにはトラウマ、オーバーワーク、うつ状態などの問題で来院されます。
そうした治療については3章に移ります。

ひろせ こころのクリニック

999-3729 山形県東根市中央東2丁目6-71
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科目/ 対象症状・疾患

心療内科 不眠、身体痛、食欲不振、慢性的倦怠感、気分低下、過剰労働の疲れ、対人関係の不安、老年期の物忘れ、気分不安定 などこころと身体の関係についての症状
精神科 うつ病、不安性障害、認知症 など
診療時間
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休診日 木曜午後/土曜午後/日曜・祝祭日

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