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心的外傷(トラウマ)と心的外傷後遺障害(PTSD)について 第3章:心的外傷(トラウマ)の拡がりについて

心的外傷にはさらに、特に周辺群にみられる別の大きなテーマがあります。

短期間の強いトラウマや長期間のいじめなどによるトラウマでは、本人なりに何とか順応して生活していこうとします。その時に取られる方法の一つが「抑圧」です。忘れる努力であり、意識的に抑え込むことです。

何事もなかったかのように行動しようとしますが、傷跡、トラウマは消えません。必ずほかにひずみが出ます。

前の晩には「明日は学校に行く」と決意しながら朝になると体が動かず、起きられないという不登校の子供さんなどにもみられます。

本人は常に学校でのトラウマを抑え込んでいるので、無意識にもトラウマの対象を避けようという行動をします。長年抑え込まれたトラウマは残り続けるのです。

その結果、例えばトラウマのある職場に近づくと無意識に拒否反応が起こり、理由もなく休んだり、起床できない、吐き気、頭痛、動悸が生じる、現場に近づくとすくんでしまうなど、強い不安発作がみられるなどの反応が起こりやすくなります。

急激に起こるために周囲は理解できないので、「本人のわがまま」か、「意欲がない」などの否定的評価が生じます。

また家庭内での例えば「嫁姑」などの人間関係でのトラウマなどでは、トラウマのある側の態度に非常に薄情で冷淡に見える行動が多く見受けられます。

本人に自覚はありません。周囲から「冷たい冷淡な人」、「情の薄い人」などととらえられやすい傾向があります。

こうした冷淡さは全く性格の問題ではありません。「抑圧」の中では無意識にせよトラウマの対象に近づくと自動的に起こる(時に恨みや憎しみを伴う)情動麻痺のような防衛反応の一種といえます。

また、あまり語られていませんが、さらに別の大きな問題があります。

トラウマを長く我慢してくると、その後、自分のやりたいことができなくなるという別の弊害が生じます。

昔は絵を描くのが好きだったのにトラウマ後から描けない、また、運動が好きなのに必要時に動きたくない、など、やりたいこと、好きなことになぜかブレーキがかかり実行できなくなります。

本人もその理由に気づきませんし、意識に上りません。

トラウマの抑圧の努力の裏返しとしての、意志の発動の障害ともいえると思います。

 

ひろせ こころのクリニック

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